本朝廿四孝
一段目(口)
舞台は足利十二代源義晴公の御所。側室の賤の方が懐胎し、義晴公、北の方手弱女御前とともにお祝いをしているところ。ここへ祝賀のために大名たちが集まっている。ここで北条氏時が義晴公に向かい、このごろ甲斐の武田と越後の長尾の争いやまず、どうするのかと問いただす。義晴公は自身の近くに仕えている長尾謙信の子景勝に父親の心中を問いただすが、景勝は父は多病で引きこもりがちではあるが、急ぎ上洛するように伝えると答え、また諏訪法性の兜を武田から借り受けた事を「武田の武勇を羨んでいる」というような不本意な噂が立ち、これが発端となって武田と不和となっていることを語る。ここに武田晴信登場。諏訪法性の兜の由来を語り、詮無き争いをするつもりは無いと答える。このやりとりを聞いていた北の方手弱女御前は影勝の妹、八重垣姫と晴信の子勝頼とを許嫁にすることで、両家の和睦を計ろうとする。
(中)
舞台は誓願寺の茶屋。賤の方が参詣のために、景勝の家来である直江山城之助などを引き連れて出かけてきている。ここへ、大黒舞のふりをして、腰元八つ橋が登場。この八つ橋は山城之助と恋仲で妊娠中。そして、逢瀬を北条氏時の家来村上義清に見つかりそうになるが、賤の方の機転に救われる。
(奥)
舞台は御所の奥御殿。かねてより賤の方に思いをかける北条氏時は、この機会に賤の方を奪う方法や武田と長尾を争わせて、領地を奪い取る相談を村上義清としている。この相談を景勝に聞かれた義清は斬りつけるが、景勝に投げ飛ばされ、氏時も景勝に斬りつける瞬間、手弱女御前に止められる。
手弱女御前に遠慮する賤の方は山城之助に言い寄り、義晴公の手で手討ちになることを望むが、全てを察した手弱女御前に救われ、出家を許される。ここへ種子島出身の井上新左衛門が登場。鉄砲を献上すると偽って義晴公を暗殺、鉄砲を残して抜井戸より逃げ失せる。騒動のさなか覆面の曲者が賤の方を奪って逃げる。この時に曲者の投げた小柄の手裏剣を手に後を追って消える景勝。手弱女御前はこの大事に遅れてきた晴信となかなか上洛しなかった謙信に、不和を装って義晴公を亡き者にしたのではないかと人から疑われるのをそのままには出来ないと語る。これを聞いた両人はそれぞれの子、勝頼と景勝の首を打って差し出すと申し出るが、その曇りの無い二人の心を知った手弱女御前は真犯人を三年の内に探しだす事が出来なければ、勝頼と影勝の首を差し出すよう命じる。山城之助は賤の方を奪われた落ち度を償うために切腹しようとするが、謙信に止められ、八つ橋ともども勘当される。

二段目(口)
義晴公が暗殺されてから三年がたつ。
場所は下諏訪明神。車つかい簑作が疲れて神前の大石に座ると、同じ車遣いの悪者どもに因縁をつけられる。この力石に座ったならば、ひとりでこの大石を持ち上げねばならぬ。できないのなら明神様へ断って、お神酒代をあげろと詰め寄られるところへ武田家の家老、板垣兵部が供をつれて通りかかり簑作を助ける。兵部は簑作に頼みたい事があると言って旅宿へ連れ帰る。
武田家の腰元濡衣が恋人の勝頼に迫った危機を救いたいと明神へお百度まいりをしているところへ、横蔵がお百度の連れになると言って、ちょっかいを出す。しかし横着な横蔵はすぐに疲れたと言って大石に腰を下ろす。濡衣が一心不乱に祈るそのとき、社の鈴の緒が切れて落ちる。濡衣は悪い知らせかと気を落とすが、横蔵が鈴の緒には「十七歳の男子。息災延命」と書いてあるので大丈夫だと慰める。濡衣が喜び勇んで帰ったあと、横蔵は神様を相手に博打を打つ格好で賽銭箱の金をせしめる。このついでに明神へ奉納された太刀を盗んで帰ろうとするところへ長尾家の家来、落合藤馬が現れ、「主人が奉納した太刀を盗むとは何か魂胆があるのでは?」と飛び掛ったところを横蔵は苦もなく藤馬の首を落とす。逃げる横蔵を追っていく長尾家の家来たち。ここで長尾景勝登場。藤馬の首を見つけて驚く。戻ってきた横蔵は景勝を前に観念するが、多勢を相手に傷ひとつ負わず、また素直に降参する横蔵を見どころのある人物と見抜いて命を助ける。命拾いした横蔵は大石に再び腰掛けると先刻の車つかいたちが再びあらわれ、横蔵に因縁をつけるが、この横蔵の相手ではない。車つかい達が逃げ去ったあと、大石を軽々と持ち上げる横蔵。その下から白髪まじりの菅簑をまとった老人が現れ、横蔵の力量を見て取って味方になって欲しいと血判を差し出すが、横蔵にも大望があり器量優れたこの老人に味方になってもらいたいと血判を差し出す。だが、お互いの大望は明かすことなく再会を約束し、老人は「七重八重 花は咲けども山吹の簑ひとつだに無きぞかなしき」と着ていた簑を横蔵に贈る。

二段目(切)
場所は武田信玄(晴信は僧形となって武田信玄となっている)の館
お百度参りから戻った濡衣は信玄の妻常磐井御前と目の見えない勝頼の行く末を案じつつ鈴の緒の一件を語って、明神の加護があるに違いないと喜ぶ。しかし、その矢先、足利家の名代として村上義清が勝頼の首を取りにくる。武田家家老の板垣兵部は勝頼に瓜二つの人物を連れて来て身代わりにするので心配ないと言って出かけたまま戻らず、常磐井は勝頼を何とか助けたいと濡衣に一緒に逃げるよう頼むが、村上義清に見つけられ、また目の見えぬ勝頼は自身の身の因果にも絶望し切腹する。勝頼の首が打たれた後、簑作を伴って館に戻って来た板垣兵部は勝頼が切腹したことを知り、悲嘆にくれる。義清は勝頼の首を持って信玄の館を去る。身代わりに殺されるために連れて来られたと知った簑作は逃げ出そうとするが、一大事を知られたからは生きて返すわけにはいかないと板垣兵部が切り掛かる。刃をかいくぐり切っ先をよけ危うくみえた時、障子の後ろから信玄が兵部をひと突きにする。信玄は兵部を刺して血に染まった刀を亡き勝頼の血のついた片袖で拭う。そして血潮が混じって散らぬことこそ実の親子の証拠であり、勝頼は生まれてすぐに瓜二つの兵部の子とすり替えられ本物の勝頼はこの簑作であるという。簑作は幼い頃より信玄を父と知り、また父信玄の指図でそのまま民間に育ったことを語る。始終を聞いた濡衣は自害しようと刀を取るが、その刀を手負いの兵部が奪い取り、自身の腹に突き立て、主人を欺いた罪を悔い、濡衣に諏訪法性の兜を取り返して、亡くなった勝頼の面目をほどこしてもらいたいと頼む。本物の勝頼である簑作は、なおも下賤に身をやつし、義晴公を殺した真犯人を探すべく旅立つ。

三段目(口)
舞台は信濃、桔梗が原。甲斐と越後の国境で馬草を取りに来た武田家家来と長尾家家来のあいだで争いが起きる。ここに長尾家の執権越名弾正の妻入江と武田家の執権高坂弾正の妻唐織が登場。長尾領に入り込んだことを入江から当てこすられ、無念に思う唐織であるが、落ち度を認めて引き下がる。
ここに慈悲蔵という孝心あつい男が兄の言いつけで自身の子峯松を捨てにくる。国境に子を置いて慈悲蔵が立ち去ると、傍らを通りかかった武田家の執権、高坂弾正が峯松の着物に括りつけられた「山本勘助」と書かれた名札から、高名な軍師に縁あるものと悟ってこの子を連れ帰ろうとする。ここへ長尾家の執権、越名弾正も来合わせ、峯松を取り合うが決着がつかず、双方の奥方、唐織、入江が乳をやって、呑んだ方が引き取るということになった。峯松はどちらの乳も呑まなかったが、唐織が抱き上げると泣き止んだこともあり、また「山本勘助」は甲州の住人であるからには、武田家で引き取るということになる。

三段目(切)
舞台は勘助住家。慈悲蔵が家に戻ってくると、女房のお種が慈悲蔵の兄横蔵の子次郎吉の面倒をみている。母は孝心あつい慈悲蔵につらくあたるが、慈悲蔵は母に真心を尽くす。慈悲蔵は真冬の雪のなか、母から裏の竹やぶでタケノコを掘ってこいと命じられ、こんな季節にタケノコは無いと思い躊躇する。母は「そんな事では知略すぐれた山本勘助の名を譲ることはできない」と慈悲蔵を折檻しようと杖を振り上げるが、その拍子によろめき、駒下駄が飛ぶ。傍らで様子を見ていた長尾景勝はこの駒下駄を取って恭しく捧げ持ち、慈悲蔵の母の前に直す。景勝の目的はこの家の横蔵を召し抱えることであり、母は快く了解する。横蔵が帰ってくると、母親も慈悲蔵も機嫌をとるが横蔵は理不尽な態度を取り続ける。折節おもてに「武田信玄参上」の声があり、武田家の唐織が慈悲蔵を召し抱えるために峯松を拾い武田信玄の名代として訪ねてきたことを告げる。慈悲蔵は名将の申し出に胸がいっぱいになるが、未だ母から山本家に伝わる軍法奥義も貰えず、慈悲蔵と呼ばれて蟲も殺せない自分のようなものが戦などできるわけもないと、にべもなく断る。唐織は当惑し、峯松が母親以外の乳に吸い付かず、やせ衰えていく事を訴え、お種とともに武田家のために働いてくれという。お種は峯松かわいさについ抱き上げるが、「子を餌に恩にかけて味方にしようとする後ろ汚い武田に奉公する気か?」と母から言われ、峯松を引き離すと唐織に渡し、早く帰られよとつきはなす。唐織は峯松をそのまま連れて帰るわけにも行かず、雪のなかに置いていく。慈悲蔵はお種を閉じ込め、涙ながらに裏の竹やぶでタケノコ掘りをはじめる。お種は雪のなかの子を案じて、戸を外して外へ出、峯松を抱き上げる。すると唐織が木陰から出て来て、その子を抱き上げたならば、慈悲蔵は武田家の味方とばかり勇んで館に向かう。お種がおろおろする隙に懐剣が飛んで来て峯松を殺す。お種は兄の横蔵の仕業と思い込み憎しみをつのらせる。裏の竹やぶでは慈悲蔵が土を掘るたびに鳥が集ってくるのを見て、「兵器あるところに鳥群れをなす」という言い伝えから、この下に軍法奥義の「六韜三略」が埋められていると確信する。この様子をみた横蔵もこの巻物を狙い兄弟で争ううちに、掘り出した箱を池に落としてしまう。母は慈悲蔵に「今こそ母が心に叶うた、天晴孝行、でかした」と言い、重ねて「裏口四方に気をつけろ」と命じる。
池の中から箱を取り上げ母の前に置く横蔵。母は横蔵に景勝につかえるよう言い、切腹の装束を与える。驚く横蔵に母は景勝が姿かたちの似た横蔵を身代わりにするつもりでいたことや、そのために諏訪明神で横蔵の命を助けてくれたということを話す。横蔵が逃げようとすると手裏剣が膝にあたり、しりもちをついたところで横蔵は観念し、切腹の刀で右の目を突き、「右目が潰れ、これで景勝の身代わりにすることはできまい」と言い、山本勘助の名を継ぐと宣言する。そして、勘助が「山城之助」と呼ばわると、衣服を改めた慈悲蔵が現れ、かねてより景勝の家臣であり母に仔細をかたって兄横蔵を主君の身代わりにしようとしていたことを打ち明ける。だが自身の目をえぐってまで志を全うしようとする兄に「長尾景勝の家臣となって忠勤されよ」という。すると笑って、長尾謙信では自分には釣り合わず、この山本勘助が主君と崇めるのは足利十三代松寿君であると宣言する。勘助は足利家の存続を危ぶむ武田信玄と主従の誓いをし、義晴暗殺の混乱時に足利家の白旗と懐胎中の賤の方を奪い匿っていたが、賤の方は松寿君を生んだ後、亡くなったため松寿君を我が子と偽り、弟嫁の乳で育てさせたと話す。母は「六韜三略」を勘助に授けようとするが、勘助は山本の姓を受けるだけで良いと言い、「六韜三略」は母の姓を継いだ弟に譲ると宣言する。山城之助もまた、わが子峯松を殺して武田家に召し抱えられることを拒絶した心底を明かす。こうして二人は兄弟でありながら武田家と長尾家に別れてつかえる事になる。

四段目(道行)
「道行似合の女夫丸」(みちゆきにあいのめおとがん)
二段目で旅立った簑作(勝頼)と濡衣が薬売りに姿を変えて信濃へ向かう。

四段目(口)ここは「チャリ場」
場所は和田山、北条氏時の屋敷を村上義清が預かっている。留守番の中間たちが「百物語」をするうちに狩に出かけていた義清が戻ってくる。義清は、「狩をするのは遊興ではなく、諏訪明神の神使は年ふる白狐で武田信玄はこれを信仰して武運を祈ると聞く。この白狐を獲らえようと思うけれども、神通力を得た狐であるから、簡単には捕まらないだろう。なので、一国のすべての野狐を狩るつもりでいる。もし、この神通力を持った白狐を得たならば莫大な褒美をとらす。」と家来たちに言い渡す。このあと、義清の近習が遅れてもどり、年ふる雌雄の狐を追いかけて野原に入ったけれども、見つからず、代わりに女の曲者を生け捕りにしてきたと語る。これが義清の恋しい「腰元八つ橋」。何とか口説こうとするが、ままならず。成敗しようとすると越名弾正や高坂弾正があらわれて、二人を相手に義清がまさかの勝利(笑)。終いには目鼻のある燭台に寄り添われたり、ろくろ首が出たりと散々な目にあう。
実は義清は狩に出て、狐に化かされ館に帰ってはいなかったというお話になっている。

四段目(切)
場所は諏訪、長尾謙信の館。亡き義晴公の幼君と北の方手弱女御前を迎える奥御殿が建つ。ここに腰元として濡衣が入り込み、また勝頼も菊作りの簑作として奉公している。簑作(勝頼)は長尾謙信が景勝の打ち首も出さず、また足利家の世継、松寿君と母手弱女御前をこの館に迎えるのが不審で、それとなく様子をうかがうために館へ入り込み、濡衣もまた諏訪法性の兜が今日の祝いに奥殿に飾られるので、この機会に取り戻すつもりでいる。
ここに濡衣の父、関兵衛が登場。当初、関兵衛は諏訪法性の兜に寄りくる野狐を退治するために雇われていたが、菊作りの特技によって、今では花守となっている。
手弱女御前と松寿君の乗った籠が到着し、あとから謙信がつき従うところへ、景勝が父謙信に上意ありと呼び止め、息子景勝(自分ですね)の首を討って出すか、さもなくば謙信が切腹されよとの上意。謙信が言葉に詰まると景勝は自ら切腹しようとする。これを花守の関兵衛がとどめ、簑作を呼び出す。謙信、景勝はひと目で本物の勝頼と見て取り、関兵衛は勝頼が生きながらえていることを利用して足利家への申し訳にすることをほのめかす。
謙信は関兵衛に頼みがあると言って一間の障子を開けると、牢屋があり、中には義晴を殺した鉄砲が置かれている。謙信はこの鉄砲を関兵衛に渡し、拷問して敵のいるところを白状させよと申しつける。関兵衛はしかたなく鉄砲を持ち帰る。
簑作(勝頼)が長裃姿になって館のうちに現れる。一間に籠りきりの、この館の娘八重垣姫は亡くなった許婚の勝頼の絵姿に向かい回向をしている。そして、もう一間では腰元濡衣が切腹して果てた恋人を思い、経を手向ける。濡衣が部屋から出て、簑作を見ると裃姿であったので、不審がりながらもその姿が亡くなった恋人に生き写しであったので、一層悲嘆にくれる。この様子を部屋で聞いた八重垣姫は外の様子を見ると絵姿の勝頼に生き写しの簑作がいた。生きているはずはないと飛び立つ心を押し沈めまた経を読み始めるが、見れば見るほど絵姿に似た簑作に思わず駆け寄ってすがりつく。しかし簑作は人違いだと言って突き放す。八重垣姫は濡衣に簑作との仲立ちを頼むが、濡衣は諏訪法性の兜を盗んでくれたら仲立ちをしてさしあげると言ったことから八重垣姫は簑作を本当の勝頼だと思い、どうして本当のことを明かしてくれないのかと縋り付いて泣く。簑作はなおも否定するが、八重垣姫が差添えで自害しようとすると、濡衣が本当の勝頼であると打ち明け、二人の仲をとりもつ。ここに謙信が現れ、簑作に塩尻への使いを命じるが、これは勝頼を亡きものにする計略であった。夫を救いたい八重垣姫の願いも父謙信には届かず、濡衣も謙信に引き据えられて行く。夫勝頼の命を助けたい八重垣姫は何とか先回りをして追手のかかっていることを夫に伝えようとするが、諏訪湖には氷が張り、舟を出すこともできず、女の足では追手に追いつくこともできないと考え、諏訪法性の兜に夫の命を助けよと祈る。と、そこかしこに狐火がたち、狐のついた八重垣姫を多くの狐が守護する。花守関兵衛はこの様子を見て動転し、鉄砲で手弱女御前を殺す。なおも関兵衛は若君の御座近くに近づこうとするが、景勝勝頼に阻まれたところを山本勘助に「斉藤道三とどまれ!」と声をかけられ、関兵衛(実は斉藤道三)は立ちすくむ。武田家の軍師山本勘助が敵対する長尾家にいることを不審に思う道三。山本勘助は諏訪明神で出合った横蔵が自分であり、そのときに簑を贈られ「七重八重 花は咲けども 山吹の 簑ひとつだに なきぞ悲しき」の歌から美濃の国を足利家に奪われた鬱憤を晴らすために道三が叛逆人となったこと。また鉄砲の使い方を知っているのは道三ひとりであったことから自ずと犯人が知れたと語る。道三は北条氏時に賄して義晴暗殺に協力させたこと、また松寿君を人質にとって天下を取るつもりであると話すと、山本勘助は松寿君はこの館にはつれてきておらず、道三が撃ち殺したと思っていた手弱女御前は実は娘の濡衣であったことを知らせる。これを知った道三は死にものぐるいで立ち向かうが、長尾謙信の放った矢に倒れ、その矢を自身の腹に突き立てて叛逆を悔いる。また武田家と長尾家の不和も叛逆人である自らを見いだす計略であったことに今まで気づかなかった浅はかさを思い知り、北条氏時の小田原城を攻め落とす計略を言い残して亡くなる。

五段目
北条氏時と村上義清が甲斐越後の戦場にきて武田家長尾家の両家が滅亡するのを待つ。武田信玄、勝頼、高坂弾正、長尾謙信、景勝、山城之助の活躍するいくさ場の様子。また、長尾謙信が武田信玄に打ちかかって信玄が軍配団扇で応戦というシーンが展開されます(このシーンはドラマでおなじみ)。ここで偽信玄が登場し、兜を脱ぎ捨てると山本勘助。「両家の争いは察するところ北条氏時、村上義清を討ち滅ぼさんとのはかりごと」と看破し捕縛済みの両人を引き据えて現れ、勝ちどきをあげる。